山梨医科大学雑誌 第10巻2号 045-055(1995)
<原著>培養脊髄神経節細胞の成長端における細胞骨格タンパク質
―特にビンキュリン,α-スペクトリンとアクチンの局在の相互関係について―
ざい 秀岩
抄 録:我々は神経成長端の動きと形態変化のメカニズムを明らかにする鍵を得るために,初代培養脊髄神経節細胞の成長端における neurofilament protein (NFP),ビンキュリン,α-スペクトリン,アクチンの四種の細胞骨格蛋白質の局在を,PAP法及び間接蛍光抗体法によって免疫細胞化学的に検索した。更に共焦点レーザー顕微鏡で神経成長端の連続水平切断面における観察を行い,三次元的な局在が得られた。ビンキュリンの免疫活性は成長端の伸びてゆく先端の細胞膜にアクチンより近接して存在した。ビンキュリンはZ方向では自由表面側に多く,基質側には少なかった。α-スペクトリンは成長端の伸びてゆく先端ではアタチンよりやや内部のほうが強く染色された。Z方向ではα-スペクトリンの免疫反応性は全体に分布し,自由表面側及び基質側双方の細胞膜に近接しても局在していた。
本研究結果から,神経成長端におけるNFP,アクチン,ビンキュリン,α-スペクトリンの分布,及びアクチンとビンキュリン,アクチンとα-スペクトリンの分布の形態的な相互関係が明らかになった。α-スペクトリンは成長端の細胞膜の裏打ち構造と細胞質内の細胞骨格三次元ネットワークを形成することが示され,ビンキュリンは伸びている最先端にアクチンより細胞膜に近接して分布し,成長端の形態変化に関与している可能性が示唆された。
キーワード 神経成長端,NFP,ビンキュリン,α-スペクトリン,アクチン
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