山梨医科大学雑誌 第11巻1号 001-007(1996)

<総説>表皮細胞の免疫学

島田眞路

抄 録:表皮を構成する細胞,特にケラチノサイト(KC),ランゲルハンス細胞(LC),樹枝状表皮T細胞(DETC)について,最近の知見を中心に概説した。
 KCは,主にサイトカインの産生により皮膚の免疫反応に積極的に関与している。IL-1αをはじめとする多機能型サイトカイン,IL-8などの chemotactic factor,GM-CSF,TGF-αや,最近ではIL-7,IL-12,免疫抑制因子としてTGF-β,IL-10などが報告されている。接触過敏症(ACD)において,ハプテン塗布後,TNF-α,IL-12などが著明に産生されることが明らかとなり,本症においてKCは重要な役割をはたすことが示された。
 LCは表皮に存在するユニークな抗原提示細胞である。KCの産生するGM-CSF,TNF-αによって活性化する。活性化に従ってMHCクラスII分子,ICAM-1,CD86,CD80などの接着分子の発現増強が認められる。アトピー性皮膚炎においても,FcεRIを発現し IgEを細胞表面に結合することにより,ダニ抗原などの活発な取り込みを行い,抗原提示活性が増強し,Th2細胞の活性化を惹起するものと考えられる。
 DETCはユニークな上皮内T細胞でγδT細胞レセプター(TCR)を発現する。そのTCR構成要素としてFcγ鎖をもつ。機能としてはサプレッサー機能を有することが報告された。リガントの解明が今後の最も重要な課題である。

キーワード ランゲルハンス細胞,ケラチノサイト,サイトカイン,γδT細胞,T細胞レセプター,接着分子




本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。

Texts are not availavle on Internet.



目次・Contentsに戻る