山梨医科大学雑誌 第11巻1号 015-027(1996)

<原著>脳卒中易発症自然高血圧ラットにおけるアンジオテンシンII
1型受容体拮抗薬(CV-11974)の心筋保護効果について

池田佳生,中村享道,高野 一,畔柳留美,
木村英昭,尾畑純栄,内藤昭貴,吉田洋二,
田村康二

抄 録:【目的】アンジオテンシンIIの左室拡張能と左室の線維化,心肥大との関連を明らかにするために,脳卒中易発症自然高血圧ラット(SHRSP)を用い検討した。
【方法】SHRSPに12週齢から24週齢まで,アンジオテンシンII 1型受容体拮抗薬 CV-11974を投与(0.5mg/kg i.p.)した治療群,ヒドララジンを投与(14-27mg/kg p.o.)した治療群および未治療群と正常血圧コントロールとしてのWKY群で収縮期血圧,心体重比,心筋細胞面積,間質の線維化,冠血管の中膜の厚さ,心筋 stiffness,反応充血時の最大冠灌流量,最小血管抵抗,ミオシン重鎖V3の割合を計測し比較検討した。
【結果】CV-11974には心肥大抑制効果があるがヒドララジンでは認められなかった。しかし,降圧により間質の線維化は CV-11974とヒドララジンでは共に抑制が認められたが,冠血管周囲の線維化および中膜の肥厚の抑制効果は CV-11974にしか認められなかった。同様に,心筋 stiffness,冠予備能,さらにはミオシン重鎖の比率においても CV-11974にしか正常化させる効果がなかった。
【結論】アンジオテンシンIIは心筋の phenotype changeや線維化を誘導する主要な因子であり,拡張能障害に深く関与していると考えられた。

キーワード アンジオテンシンII 1型受容体拮抗薬,間質の線維化,左室肥大,左室拡張能,冠予備能




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