山梨医科大学雑誌 第12巻2号 r01-r12(1997)

第1回山梨医科大学CPC記録:主膵管の拡張を発見されて9年後に閉塞性黄疸をきたした膵頭部腫瘤病変の1例

要 旨:83歳の女性。今回の入院16年前に肝機能異常を指摘され,肝硬変(C型)へ進行し,15年後に5×4cm大の肝癌が発見された。その間,6年間膵頭部から尾部にいたる主膵管の拡張と透亮像を認めたが,拡張の原因は不明であった。肝動脈塞栓術による肝癌の治療中,膵管の拡張は進行,血中CA19-9値が上昇し,4力月前に膵頭部に直径3.5cmの腫瘤が発見された。入院後,膵頭部腫瘤による閉塞性黄疸が増強し,DICを併発して死亡した。臨床上,膵頭部腫瘤の本態は確定できなかったが,病理解剖の結果,膵頭部腫瘤は肝細胞癌の転移であり,更にそれに近接して直径0.7cmの微小な膵管内乳頭癌が確認され,それが膵管拡張の原因であることが明らかにされた。肝細胞癌は組織学的に未分化の部分があり,その部分が免疫染色上,CA19-9が陽性であることから,血中CA19-9値の上昇は肝細胞癌に由来すると判断されたが,肝細胞癌が膵ヘ転移することが稀であることと合わせて,CA19-9産生能獲得の機序に関しても今後の検討課題として残された。





本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。

Texts are not availavle on Internet.



目次・Contentsに戻る