山梨医科大学雑誌 第12巻3号 r01-r13(1997)

第2回山梨医科大学CPC紀録:生前に原発病巣の診断が困難であった副腎腫瘍の一例

要 旨:症例は臨床的に原発巣不明のACTH産生性小細胞癌である。患者は69歳の男性で,最終入院の5年前に腹部CTで右副腎部に径1cmの腫瘤を発見されたが,3年間その大きさは不変であった。入院の1年前になって副腎腫瘍の径4cmに達する増大を認め,同時に縦隔リンパ節の腫大が観察されたが,両者の関係については確定できなかった。その後,縦隔リンパ節の腫大がさらに進行したため,その摘除を行ったところ,組織学的には小細胞癌のリンパ節転移であった。しかし,肺の精査を行うも最後まで肺癌を発見できないまま右後腹膜腫瘍の増大に伴う全身状態の悪化によって入院後約1か月で死亡した。病理解剖の結果,右気管支主幹分岐部に近接する粘膜下の径1.5cmの腫瘍が原発巣と判定され,免疫組織化学的検査によりACTH産生が証明された。しかし右副腎は同部位の巨大な転移巣の形成により形骸を留めず,最初に発見された腫瘤が良性腫瘍であったのか,最初から転移であったのかは解明できなかった.





本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。

Texts are not availavle on Internet.



目次・Contentsに戻る