山梨医科大学雑誌 第12巻4号 151-157(1997)
<症例報告>小児における複数回開心術症例の検討
吉井新平,鈴木章司,保坂 茂,高橋 渉,
加藤淳也,奥脇英人,大沢 宏,福田尚司,
片平誠一郎,A.Samuel,多田祐輔,丹 哲士,
杉山 央,藤嶋美奈子,駒井孝行,矢内 淳
抄録:先天性心疾患開心術がより複雑例,かつ若年で行なわれ成続の向上が見られている一方,再手術を必要とする症例も増えている。そこで今回再手術における間題点と対策につき検討した。1991年から1996年に行なった2力月以上16歳以下の開心術94回中,2回以上の開心術を行なった7症例を対象とした。7症例の初回開心術は13日から12力月,平均4.4力月,2回目手術は5力月から56力月,平均21力月,3回目手術は11力月の1例であった。再手術時の癒着防止を考慮して初回手術時ゴアテックス(R)0.1mmの人工心膜を使用した4例と自己心膜をかなりの部分縫合した1例では癒着は比較的容易に剥離でき,人工,自己心膜とも無い1例は剥離に時間を要したが通常の手術と同様に行ない得た。完全大血管転位症例では癒着強固にて腸骨動脈送血,大動脈非遮断下の手術とした。手術時間は3回目手術を含めた8回で4時間15分から11時間10分,平均7時間29分であった。再手術時5例で人工心膜を使用し,1例の再々手術時の癒着剥離も容易であった。以上の経験から再開心術はそれ自体手術の危険因子とはならないが,初回手術時に再手術が予想される場合,人工心膜を使用するなどの対策を立てておく方が再手術時の癒着剥離に対するストレスは少なく,また時間を掛けても丁寧な癒着剥離が安全な手術につながるものと思われた。
キーワード 先天性心疾患,再開心術,癒着
本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。
Texts are not availavle on Internet.
目次・Contentsに戻る