山梨医科大学雑誌 第12巻4号 r01-r13(1997)

第3回山梨医科大学CPC記録:原発巣の確定が困難で,重篤な経過を呈した脳膿瘍の1例

要 旨:症例は71歳の女性。発熱と下腹部痛を主訴として来院,虫垂炎を伴う急性腹症を疑われ,第4病日に入院後,意識障害が出現し,敗血症,左側脳室後角外側の脳膿瘍と診断された。抗生物質の全身および髄腔内投与にもかかわらず,DIC,気管支肺炎を併発し,呼吸不全により第50病日に死亡した。感染のfocusは不明であった。病理解剖の結果,細菌およぴ真菌による敗血症性病変として脳,脊髄,腎,膀胱,肺,心筋,甲状腺に膿瘍の形成,さらに脳脊髄膜炎,肺の真菌性血栓性血管炎が認められ,細菌の同定は不能であったが,グラム陰性桿菌による尿路感染が原発と推定された。なお画像上,脳膿瘍とされた病巣は組織学的には膿瘍の所見と合致せず,大脳動脈皮質枝の楯環障害による梗塞と診断されたので,この点が討議の焦点となった。





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