山梨医科大学雑誌 第14巻1号 017-025(1999)

<原著>酵素免疫測定法を用いたヒト胎盤組織中
basic fibroblast growth factorの測定

長坂久司

抄 録:Basic fibroblast growth factor(bFGF)は強力な血管新生因子であるが,そのコードする遺伝子中にシグナルペプチドを欠いているため,定量には組織を直接抽出精製しなければならず,実用性に乏しい。そこで,2種の異なる領域を認識するモノクローナル抗体によるサンドイッチ酵素免疫測定法(EIA)を用い,ヒト胎盤から一定の抽出過程を加えたbFGF定量法の開発を試みた。
その結果,本法でのbFGFの検出限界は400 pg/mlであり,800 pg/ml〜25.6 ng/mlの測定が可能であった。再現性試験での測定内変動係数は,同時再現性で平均5%前後,日間再現性で平均10%前後であった。添加回収試験では回収率80〜100%であり,希釈試験での希釈曲線は原点に収約する直線性を示した。バイオアッセイにてED50となるbFGF濃度は合成ヒトbFGFが約100pg/ml,粗抽出液も約100pg/mlと同じ値となった。精製試料でのRIAとEIAの測定値は満足のいく相関性が認められた。以上より本法は少量の生体組織にも応用できうること,かつ再現性と簡便性に優れていること,また測定値が生物活性とも良好な相関をもつことが判明した。本法にてヒト胎盤内bFGFを測定し,106±18 ng/1g wet tissueという結果を得た。

キーワード basic fibroblast growth factor (bFGF)




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