山梨医科大学雑誌 第14巻1号 027-034(1999)
<症例報告>胃巨大平滑筋肉腫の1切除例
西尾 徹,中込 博,腰塚浩三,
武藤俊治,高野邦夫,多田祐輔
抄 録:胃の平滑筋肉腫は胃の粘膜下腫瘍としてはリンパ腫に次ぐ頻度ではあるが比較的希な疾患であり,胃悪性腫瘍の0.1%〜1.3%をしめるにすぎない。著者らは最大径24 cmの非常に巨大な腫瘤を形成した胃の平滑筋肉腫の1例を経験したので報告する。
症例は41歳女性。主訴は腹部膨満感と全身倦怠感。近医より胃の粘膜下腫瘍を疑われ当院に紹介された。術前検査より胃後壁から壁外性に発育する肉腫と診断し,胃全摘術,膵体尾部,脾合併切除により腫瘍を切除し得た。腫瘍は長径24 cm,重さは2.7 kgの巨大な胃平滑筋肉腫であった。
2群までのリンパ節に転移はなく,膵,脾にも直接浸潤はなかったが,術後10カ月目に肝門部リンパ節に転移を認めたため再切除を行った。しかしその後腹膜播種で再発をきたし初回手術後18カ月目に腫瘍死した。
本症例では腫瘍の細胞回転が早く,再発形式も腹膜播種であったため,再々切除できず救命し得なかったものと考えられた。
キーワード 平滑筋肉腫,胃,巨大腫瘤
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