山梨医科大学雑誌 第14巻2号 051-058(1999)

<原著>小児期各種行動特徴の遺伝学的解析

石川サト子,大木秀一,山縣然太朗,浅香昭雄

抄 録:小児期の行動上の問題に関する遺伝要因・環境要因を解析する目的で双生児資料に共分散構造分析を行った。東京大学附属中学校に1981年度から1998年度に入学志願した双生児を対象とした。卵性の内訳は一卵性双生児609組(男男279組,女女330組),二卵性双生児223組(男男65組,女女56組,異性102組)である。
 量的遺伝学におけるthreshold theoryをもとに,liability(易罹病性)のtetrachoric correlationを算出し,得られた相関行列をもとにE, AE, CE, ACE, ADEの各遺伝モデルを構築し,その適合度を検討した。ここで,Aは相加的遺伝要因,Dは優性遺伝要因,Cは共有環境要因,Eは非共有環境要因である。その結果,「寝言」「寝ぼけ」「夜驚」「爪かみ」ではAEモデルが採択され,遺伝率もほぼ80%を越える高いものであった。「夜尿」に関してはACEモデルが採択された。得られた遺伝率には男女差が大きかった。また,共有環境要因の関与が強かった。「吃音」に関しては遺伝要因の関与が示唆されるにとどまった。
 本研究により,小児期の行動上の問題に対する遺伝要因の関与が統計学的に明らかにされた。また,性差の重要性が確認された

キーワード 共分散構造分析,双生児研究法,遺伝要因,環境要因,小児の行動




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