山梨医科大学雑誌 第14巻2号 r29-r33(1999)

第19回山梨医科大学CPC記録:
心タンポナーデを初発症状とした胸腺癌

要 旨:63歳,男性。呼吸困難と胸部不快感を主訴として来院した。収縮性心膜炎による心タンポナーデと診断,心嚢ドレナージにより症状は軽快したが,前縦隔に腫瘍を認め,浸潤型胸腺腫と診断し摘除を試みたが不能であった。縦隔照射を行ったが,腫瘍の縮小効果は乏しかった。
以後背部,側胸部の疼痛と右胸水に対する対症療法を続けたが,1年後呼吸停止し,死亡した。心タンポナーデの原因,腫瘍の原発部位と組織診断が問題とされ,剖検の結果,胸腺癌の診断が確定し,癌の心嚢への浸潤によりリンパ管を圧迫,閉塞して心嚢液の貯留をきたし,直接死因は心不全と判断された。胸腺腫瘍の分類における胸腺癌の位置づけに関して臨床的および病理学的立場からの解説を行った。





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