山梨医科大学雑誌 第14巻3号 083-089(1999)

<原著> 山梨県下における小児悪性新生物の発症状況に関する疫学調査

犬飼岳史,手塚徹,小林浩司,杉田完爾,
雨宮伸,中澤眞平

抄 録:1989年(平成元年)5月から1997年(平成9年)12月までの8年8ヶ月間に山梨県下で提出された,のべ1,938件の小児慢性特定疾患公費負担申請書をもとに,山梨県下における小児悪性新生物の疫学的検討を行なった。15歳未満の新規悪性新生物症例は166例(男児94例,女児72例)で,この間の15歳未満10万人当たりの悪性新生物罹患率は,12.29人/年であった。白血病及び類縁疾患の罹患率が最も高く4.76人/年であり,以下,脳腫瘍が2.30人/年,神経芽細胞腫が1.41人/年,悪性リンパ腫が1.11人/年と,国内外の報告とほぼ同様の傾向であった。診断時年齢別では,1歳未満で神経芽細胞腫が最も多かった以外は,各年齢層で白血病が第1位であった。小児慢性特定疾患公費負担申請書は,提出率がほぼ100%と推測され,疫学調査に有用であると考えられる。今回の検討で,疾患によっては罹患率に地域間格差が認められたことから,全国レベルで同様の比較を行なうことで,環境要因の影響を検討しうることが示唆される。

キーワード:小児悪性新生物,疫学,環境要因,小児慢性特定疾患公費負担申請書




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