山梨医科大学雑誌 第14巻3号 r01-r05(1999)

第20回山梨医科大学CPC記録 : 癌性腹膜炎で発症し,上行結腸穿孔を来して死亡した若年男子末期癌(原発巣不明)の1例

要 旨:38歳の男性。食欲不振,腹部膨満を主訴として来院。すでに悪液質の状態にあり,貧血,腫瘍マーカーの上昇を認め,腹水の細胞診でClass V ,adenocarcinoma と診断された。しかし胃前庭部の皺壁集中部からの生検では胃癌が検出されず,原発巣不明のまま全身状態は悪化し,意識混濁,血圧低下を来たして入院19日目に死亡した。剖検の結果,胃幽門前庭部原発の,一部に印環細胞癌を混える低分化腺癌と診断され,全身諸臓器への広範なリンパ行性と血行性転移,癌性腹膜炎,胸膜炎および心膜炎が認められた。さらに上行結腸潰瘍の穿孔による糞便性腹膜炎があり,これが直接死因と推定された。生検によって癌が検出されなかった原因として癌性潰瘍周縁を非癌性粘膜が覆い,あたかも粘膜下腫瘍様外観を呈していたためと考えられ,その対応について議論が交わされた。





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