山梨医科大学雑誌 第14巻3号 r14-r21(1999)

第22回山梨医科大学CPC記録 : 広範な縦隔リンパ節,肺転移を来した肝細胞癌切除後再発症例

要 旨:37歳の男性。6年前B型慢性肝炎と診断されたが放置していた。心窩部痛が出現,肝腫瘍を指摘され入院,外側区域の多発性肝細胞癌の診断で,区域切除と胆嚢摘出術を施行し,補助療法としてTAI を実施した。術後5ヵ月,腹部CT で肝内再発が疑われ,さらに両肺に転移を認め,CDDP の静注化学療法を開始した。しかし腫瘍マーカーは上昇を続け,肺転移の増大と肺門,縦隔リンパ節転移が増大し,外来通院で保存的療法を行っていたが,呼吸困難と黄疸が増悪し,喀血も出現,呼吸不全と腎不全が進行し,術後2年6ヵ月で死亡した。剖検の結果,残肝に門脈と肝管に浸潤する壊死傾向の著明な多発性の肝細胞癌の再発と両肺,肺門と縦隔リンパ節の他,脾,腎および骨髄に転移を認めた。リンパ節の転移は肺からの2次的転移とみなされ,直接死因は肺転移と腫瘍の血管浸潤に伴う肺の出血性梗塞による呼吸不全と診断された。また残肝の非癌部は線維化の強い慢性肝炎の像で,完成された肝硬変の所見はなかった。





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