山梨医科大学雑誌 第14巻4号 131-136(1999)

<臨床研究>小児開心術の質的向上を目指した
術中経食道エコーモニターの有用性

吉井新平,鈴木章司,保坂茂,
高橋渉,大澤宏,福田尚司,
加賀重亜喜,A. サミュエル,多田祐輔

抄 録:我々は1991年に術後肺静脈狭窄解除に際しての術中経食道エコー法の有用性を報告,1995年から小児開心術に本法のルーチン化を試みた。今回その有用性につき検討した。対象として1995年4月より症例を選んで,1996年より体重5kg以上は原則全例とし,以後1999年6月まで施行した99例。年齢は4カ月〜17歳,最低体重5.3kg 。施行は手術進行の妨げにならないよう簡易に行った。術前後の観察は外科医が,術中は麻酔科医,小児科医の協力も得た。5.3kg 児で挿入後右橈骨動脈圧波形が鈍ったため観察後抜去にて回復,原因に右鎖骨下動脈起始異常があった。他に合併症はなかった。心内空気の有無,各種心内ラインの確認は全例で観察できた。心室中隔欠損例ではそのタイプ,合併異常の有無,術後パッチの位置や漏れの有無などが観察可能,他の疾患でも同様に術前の詳細な観察と術直後の完成度評価が可能であった。2例で心房分割術後にエコー上,心室流入路狭窄を確認,再手術した。最近9年間の4カ月以上の症例は本法の有無に拘らず全例軽快退院しているが,再手術例では病態認識がなければ手術死した可能性があり,成績向上に寄与している可能性は大きい。今後新生児にも使用可能な機種の導入が望まれる。

キーワード 経食道エコーモニター,小児開心術,術中モニター




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