山梨医科大学雑誌 第15巻1号 r01-r07(2000)

第27回山梨医科大学CPC記録:
食道離断術後,低血糖発作とイレウスを繰り返し,急速な
肝腫瘍の増大により死亡した肝硬変症の1例

要 旨:症例は52歳,男性。34歳でKayser-Fleischer 角膜輪を,37歳で肝硬変と食道静脈瘤を指摘され本学第一内科に入院。血清セルロプラスミンおよび血清銅の低下,尿中銅排泄の増加,また神経症状より,Wilson 病の診断がなされD-penicillamine の投与をうけてきた。この間11回におよぶイレウスを繰り返し,開腹及び保存的治療を受けている。死亡2年前に撮ったCT 肝の多発性腫瘍の存在が疑われ,生検で胆管細胞癌の診断がなされた。剖検では,大結節型の肝硬変と肝右葉を中心とする結節癒合型の胆管細胞癌が見られ,癌の肝,肺,リンパ節への転移,腹膜播種が認められた。乾燥肝組織中の銅含有量は532mg/g(正常10‐30)であったが,組織化学的(ルベアン酸,ロダニン染色,またオルセイン,ビクトリアブルー染色)に肝細胞内に銅および銅結合蛋白は証明できなかった。Wilson病による肝硬変に胆管細胞癌が合併した症例と結論された。





本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。

Texts are not availavle on Internet.



目次・Contentsに戻る