山梨医科大学雑誌 第15巻2号 039-044(2000)

<臨床研究>右心バイパス手術
―Low Volume 施設での術式選択の妥当性評価―

吉井新平,鈴木章司,保坂茂,高橋渉,大澤宏,福田尚司,
加賀重亜喜,A. サミュエル,多田祐輔,角野敏恵,丹哲士,
星合美奈子,杉山央,矢内淳,駒井孝行

抄 録:先天性心疾患である単心室症に対する右心バイパス手術は一般に患児の客観的検査所見から適応や術式選択が論議されるが,施設により症例数の相違や到達目標の違いなどから成績に差があるといわれている。当院は症例数からは典型的なlow volume施設であるが,本手術に際し安全性を第一の目標としてきた。今回その選択決定の妥当性を検討した。対象は右心バイパス手術を検討した最近4年5カ間(1995年10月〜2000年2月)の12例。年齢は1〜8歳(平均4.0歳)で1例平均2.4回の姑息手術を受けている。手術治療の最終目標を完全右心バイパス手術による生活の質(QOL)向上とチアノーゼのない血行動態としたが,術式選択については安全性を第一とした。結果的に問題症例は1例で,本例では術前に肺血管抵抗測定が不能で術中高値を確認,上大静脈肺動脈吻合を行なったが静脈圧高値にて撤退した。退院後自宅にて排便中突然死した。5例は完全右心バイパス手術まで達し,2例は完全右心バイパス手術を予定中,4例は完全右心バイパス手術までに到達は不可能と判断している。しかしいずれの例も家庭での通常の生活はできている。以上本疾患群には手術治療が最終目標に至らなくとも許容できる症例もあるものと思われた。今後はより早期の右心バイパス手術に取り組み,最終目標への到達率の向上を目指したい。

キーワード 右心バイパス術,フォンタン型手術,単心室症,小児開心術,手術適応




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