山梨医科大学雑誌 第15巻2号 r01-r04(2000)

第30回山梨医科大学CPC記録:
肝門部空腸吻合(葛西法)術後19年で死亡した
先天性胆道閉鎖症の1例

要 旨:19歳の女性。出生2カ月後,先天性胆道閉鎖症の診断で肝門部空腸吻合術を施行され,4年前から当院でfollow upしていた。その間,吐血と胆管炎で19回入退院を繰り返していたが,労作時の息切れ,動悸,全身倦怠感で入院,高度の黄疸を認め,肝不全と診断し,IVHによる栄養サポートを開始したが,ブドウ球菌による感染を併発し,入院6カ月後に死亡した。剖検上,肝は高度の胆汁性肝硬変の像を呈し(肝重量1,270 g),肝実質の広範な壊死,化膿性胆管炎と膿瘍の形成が認められた。肝門部胆管と空腸との吻合部およびその周囲の肝内胆管には通過障害は認められず,臨床的に問題とされた閉塞性黄疸の原因は末梢の膿瘍形成を伴う化膿性胆管炎と胆汁結石による胆管の閉塞が主因と考えられた。また側副血行路としては下部食道に静脈瘤を認め,直腸粘膜下静脈叢の拡張が認められたが,肺には動静脈シャントの形成は確認されなかった。





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