山梨医科大学雑誌 第15巻2号 r20-r27(2000)
第33回山梨医科大学CPC記録:
ベーチェット病の既往を持ち,脳,眼球,腎,
消化器に多彩な病変を呈した1例
要 旨:患者は66歳の男性。20年前に緑内障にて左眼球を摘出,7年後右目のブドウ膜炎にて入院し,眼科でベーチェット病と診断された。2年前,心筋梗塞でバイパス手術,また慢性腎不全にて透析療法を受けていたが,胃潰瘍からの出血によりショック状態に陥り緊急入院し,胃切開,縫合止血術を施行された。術後,創部感染あり,38〜40℃の発熱が持続し,46病日で血圧の低下を来して死亡した。臨床上,他臓器の病態とベーチェット病との関連性,発熱の原因と直接死因が問題とされ,剖検が行われた結果,高度の全身性動脈硬化症,新旧の心筋梗塞,化膿性腹膜炎を伴う急性膵壊死,気管支肺炎,糸球体と尿細管の高度の荒廃と間質性腎炎を伴う末期腎,日本住血吸虫症による肝の線維化等,多臓器に及ぶ多彩な病像が示された。しかし,ベーチェット病に特徴的とされる動脈瘤の形成,閉塞性血栓性静脈炎は認められず,治療による修飾の可能性を考慮すると間質性肺炎と末期腎がベーチェット病の内臓表現である可能性は否定しきれないが,それを積極的に指示する所見は得られなかった。なお最終死因は敗血症に合併した急性膵壊死と判断された。
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