山梨医科大学雑誌 第15巻3号 045-057(2000)

<総説>頻脈性不整脈に対する非薬物治療の進歩

小森貞嘉

要 旨:不整脈治療の目的は患者の生命予後改善,心機能改善,QOL改善などが挙げられる。キニジンが抗不整脈薬として1950年代に用いられて以来薬物治療は不整脈治療の中心であった。しかしCardiac Arrhythmia Suppression Trialが行われ,催不整脈作用,陰性変力作用,その他の副作用の問題点が取り上げられた。
 一方ここ10数年間に非薬物治療が目覚ましい発達を遂げた。高周波カテーテルアブレーションは不整脈の発生や維持に必須の心筋を高周波で焼灼することにより根治を目指す治療法であり,WPW症候群,通常型心房粗動,房室結節回帰性頻拍,特発性心室頻拍が良い適応となる。成功率,安全性は満足すべき結果である。
 植え込み型除細動器は致死性不整脈を関知して自動的に頻回刺激や直流通電で不整脈を停止させ突然死の予防に極めて有効である。
 不整脈治療はそれぞれの治療法の特徴と限界を認識して統合的に行う必要がある。

キーワード 高周波カテーテルアブレーション,植え込み型除細動器,根治治療,心臓突然死




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