山梨医科大学雑誌 第15巻4号 r20-r26(2000)
第38回山梨医科大学CPC記録:
肺梗塞をくり返した消化管ポリポーシスの1例
要 旨:患者は31歳の男性で精神発達遅滞を伴っており,4年前より脱毛・手指の爪甲剥離萎縮・皮膚色素沈着・下痢が出現し,大腸内視鏡において多発性ポリープを認めCronkhite-Canadasyndromeと診断された。入院後,絶食・IVHを中心とした高カロリー療法・ステロイド療法・H2ブロッカー・抗炎症剤等の投与を行ったところ,ある程度の症状の改善を認めたが,胃・十二指腸の上部消化管ポリープには著変は見られなかった。その後,上大静脈血栓症・脳梗塞を発症し,抗凝固療法を行ったが肺梗塞を繰り返し呼吸機能は悪化し,血栓症の発症から3年後,急激な血圧低下をきたし死亡した。剖検では,胃・十二指腸から小腸・結腸に無数の過形成ポリポーシスを認めた。また,左肺動脈本幹をほぼ閉塞する器質化血栓が見られた他,全身の動静脈内に新旧の血栓の形成を認めた。血栓症の原因について血栓性素因の有無,Cronkhite-Canada syn-dromeとの相関について討議された。
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