山梨医科大学雑誌 第16巻2号 051-060(2001)

<原著>屍体標本における月状骨関節軟骨変性の検討

薛 昊(シュエ ホーカン) ,濱田 良機

要 旨:手関節尺側部障害の一種であるulnar impingement syndrome の発症機序を解明する目的で,60 体80 手関節の屍体標本を用いて,月状骨関節軟骨変性とTFC(triangular fibrocartilage )穿孔の有無および程度,さらには各種X 線学的計測値との関連について検討した。年齢は37 歳から100 歳の平均75歳であった。月状骨関節軟骨変性は66 関節,82.5 %にみられ,その変性はTFC穿孔と対向する月状骨の尺側関節面に集中して,TFC穿孔との間には相関関係を認めた。X線学的計測値との関係では,月状骨関節軟骨変性が高度になるにしたがって,UPV(ulnar plus vari-ance)とLFI(lunate fossa inclination)が有意に高値であった。TFC穿孔のない31 関節のLFIは,月状骨関節軟骨変性をみないものと変性をみるものとの間に有意な相関をみた。月状骨尺側関節軟骨変性の発生機序としては,TFC 穿孔による尺骨頭から局所への応力集中と橈骨尺側関節縁からの応力集中の二つが考えられた。

キーワード月状骨,TFC ,ulnar variance




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