山梨医科大学雑誌 第16巻2号 r22-r27(2001)
第43回山梨医科大学CPC記録:肝移植を考慮するも,その決断にとまどい,
救命し得なかった劇症肝炎の1例
要 旨:本症例は急激な肝障害とそれに伴う脳症を起こした51歳,男性である。ステロイド,血漿交換,血液濾過透析等の治療にもかかわらず肝機能の改善を認めないため,肝移植の適応を考慮された。しかし,経過中重篤な感染症を合併し,約2 ヶ月の経過で死亡した。剖検時の肝臓の変化は,萎縮部では急激にほぼ全ての肝細胞が壊死,脱落し,偽胆管の増生により置換される。胆汁鬱滞の高度な緑色調の部分では,肝細胞は急激な壊死を免れ島状に残存したと思われる。同部でも活発な肝細胞の壊死が認められ,時間の経過とともに全体が壊死に陥ると考えられる。本例は組織学的に偽胆管の増生は認められたが,肝実質細胞の再生所見は極めて乏しく,再生不良型の劇症型急性肝炎の像とみなされた。急激な肝障害を引き起こす原因としては,ウィルス,薬剤,アルコール,毒物が考えられるが,本例では直接的な原因は不明である。
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