山梨医科大学雑誌 第17巻1号 009-018(2002)

<原著>
心房内に移植したe-PTFE 人工血管の内外両側面における
抗血栓性の相違についての実験的研究

福田尚司,吉井新平,保坂 茂,鈴木章司,多田祐輔

要 旨:[目的]小児先天性複雑心奇形に対する心房内分割手術の際に,隔壁材として用いるe-PTFE人工血管の内側面ならびに外側面での治癒過程からみた抗血栓性の相違について実験的に検討した。
[材料および方法]40羽のウサギに,e-PTFEから成るGORE-TEXおよびTechnograftを移植した。全身麻酔下で,胸骨正中切開を行い,右心耳を切開し,人工血管片を右房内に挿入した。両人工血管群ともに移植後3時間,1日,3日,1週,4週で屠殺し,人工血管片を採取した。評価には光学顕微鏡,免疫染色,走査電子顕微鏡を用いた。
[結果]GORE-TEXでは,移植後1週の内側面で内皮細胞が出現し,移植後4週までに人工血管両側のほぼ全面において内皮細胞によって覆われたTechnograftでは,移植後4 週で初めて内皮細胞を認め,その頻度も,内側面で4例全て,外側面では1 例のみであった。
[結語]内皮化による抗血栓性の獲得という点において,心房内隔壁としてはTechnograftよりGORE-TEXが適していると考えられた。

キーワード 小児先天性複雑心奇形,心房内隔壁,e-PTFE人工血管,抗血栓性,ウサギ




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