山梨医科大学雑誌 第17巻2号 r06-r11(2002)

第52回山梨医科大学CPC記録
根治的前立腺摘除術施行の3年7か月後に
肺腫瘤性病変の出現した1例

要 旨:患者は79歳,男性。1993年5月,尿閉のため受診した近医で前立腺癌を疑われ,1993年7月当院入院となった。術前の腫瘍マーカー(PSA: Prostatic specific antigen)は58.6ng/mlと上昇し,前立腺生検では中分化型腺癌の診断であった。7月23日,根治的前立腺摘除術を施行され,術後よりLH-RH analogueを投与された。1997年多発性肺腫瘤病変,骨転移,脳内腫瘤性病変が認められた。1998年,脳病変に対して小脳腫瘤摘除術およびγナイフ療法を施行された。病理では転移性腺癌の診断であった。経過中PSA値の上昇は認められなかった。その後,肺腫瘤は増大し,2001年1月呼吸苦が出現し再入院となり,3月呼吸不全にて死亡した。剖検では,両肺,大脳,小脳,大腸,骨そしてリンパ節に低分化型腺癌が認められた。臨床経過からは前立腺癌の全身転移が考えられたが,組織学的には原発性肺癌との鑑別が問題となった。腫瘍の組織形態のみからは両者の鑑別は困難であったが,PSA およびTTF-1(thyroid transcription factor-1)の染色態度から前立腺癌の低分化腺癌成分が転移したと考えられた。





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