山梨医科学雑誌 第18巻3号 037-045(2003)

<総 説>
通年性アレルギー性鼻炎の病態とそれに基づく薬物療法

増 山 敬 祐

要 旨:アレルギー性鼻炎は罹患率が増加しかつ難治化の傾向にある。アレルギー性鼻炎は致死的疾患ではないが,生活の質を著しく低下させるとともに最近では喘息の危険因子としても注目を集めている。このレビューは,これまでに明らかにされたアレルギー性鼻炎の発症機序を整理し,その病態に応じた薬物療法について解説したものである。I型アレルギーの抗体IgEが石坂夫妻により発見されて37年であるが,その後I型反応は肥満細胞,IgEがトリガーとなって起こる即時反応のみならず遅発反応があること,遅発反応は好酸球を主体としたアレルギー性炎症であること,などが明らかにされた。アレルギー性鼻炎においても,遅発反応では好酸球を主体とした炎症細胞が浸潤し,ロイコトリエンやトロンボキサンA2の産生遊離を介して鼻閉を起こすことが推察された。薬物療法では,鼻閉型にこれらケミカルメディエターの拮抗薬が登場したことである。また,強力な抗炎症作用を持つ局所ステロイド薬も,鼻粘膜における作用機序が明らかになった。病態解明はより適切な薬物治療を可能にする。難治例では,免疫療法,手術療法などとの組み合わせがQOLの改善に寄与するものと考える。

キーワード アレルギー性炎症,ヒスタミン,ロイコトリエン,トロンボキサンA2,好酸球,Th2サイトカイン



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