山梨医科学雑誌 第20巻1号 017-023(2005)
<症例報告>
三次元実体モデルによる手術simulation を行った
craniosynostosis の2 例
杉 田 正 夫,堀 越 徹,上 野 武 彦,
池 長 聰,貫 井 英 明
要 旨: Craniosynostosis(CS)の手術では,頭蓋顔面を形成する骨の変形を正確に把握し手術計画を行う必要があるが,これまで用いられてきた石膏などでの3 次元再構成法では,微妙な彎曲や中空構造物などの把握は不十分で,また切除,組み合わせを行うsimulation も困難であった。近年,高速多断面CT の導入により滑らかな立体画像が得られるようになり,それを応用して頭蓋骨の光造形法を用いた実体モデルを作成し,手術simulation を行ったCS の2 例を報告する。
症例1 : 1 歳の男児,検診で頭蓋顔面の変形を指摘された。頭蓋は右前頭部が平坦化し斜頭蓋を呈していた。Fronto-orbital advancement および前頭骨の再構成を予定し,実体モデルによる骨切除と前方移動および再構成のsimulation を行った。症例2 : 1 歳の女児,近医で頭蓋顔面の変形を指摘された。頭蓋は短頭蓋を呈していた。Extension plate を用いたFronto-orbital advancement を予定し,実体モデルを用いて骨切除範囲とplate の位置を決定した。いずれの症例も手術は円滑に施行され術後経過良好であった。結語:実体モデルによりsimulation を行うことで円滑な手術操作が行われ,さらに機能的,審美的によりよい術後経過が期待できると考えられた。
キーワード 頭蓋縫合早期癒合症,三次元実体モデル,手術計画
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