山梨医科学雑誌 第20巻4号 075-082(2005)

<原著>
冠動脈疾患患者231 症例の心筋灌流MRI の評価:
MRI による灌流欠損と冠動脈造影による
冠動脈狭窄度との関係

永 田 幹 紀

要 旨:多数の症例で薬物負荷心筋灌流MRI の冠動脈狭窄検出能の検討と,心筋灌流MRI の灌流欠損の視覚的分類と冠動脈造影検査(coronary angiography: CAG)の関係を検討した。
 冠動脈疾患が疑われた231 例で,CAG と心筋灌流MRI を4 週間以内に行った。CAG で冠動脈内腔70 %以上の狭窄を有意狭窄とした。心筋灌流MRI は,安静時とジピリダモール負荷時で,Gd造影剤のファーストパスを撮像した。
 CAG で有意狭窄と診断した冠動脈枝(左冠動脈前下行枝: LAD,左冠動脈回旋枝: LCx,右冠動脈: RCA)は311 冠動脈だった(LAD 121,LCx 100,RCA 90)。また,231 人のうち78 人が1枝病変,64 人が2 枝病変,35 人が3 枝病変だった。薬物負荷心筋灌流MRI の冠動脈狭窄病変検出能の感度は89.3 %(158/177),特異度90.7 %(49/54)だった。灌流MRI の1 枝病変,2 枝病変,3 枝病変検出感度は,82.1 %(64/78),92.2 %(59/64),94.3 %(33/35)だった。心筋灌流MRIの冠動脈狭窄検出能のROC 解析の結果は,0.91 と0.93 で,読影者間の一致度kappa は0.90 だった。灌流MRI における灌流欠損の視覚的分類の割合は,CAG における冠動脈狭窄の程度のみが冠動脈狭窄が高いほどtranmural type の増加を認めたが(p<0.05),病変枝数や冠動脈支配領域では認めなかった。
 心筋灌流MRI 検査の冠動脈狭窄病変検出能は感度,特異度とも良好な結果が得られた。CAG の冠動脈狭窄度が高い程,灌流欠損においてtransmural type の割合が有意に高くなる傾向を認めた。

キーワード 虚血性心疾患,心筋灌流,MRI



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