山梨医科学雑誌 第21巻2号 015-025(2006)

<総説>
上顎骨延長による小児の顎変形症治療
― RED システムの術式と治療成績―

原 田   清

要 旨:骨延長法は低侵襲であることから小児の顎変形症患者にも応用されているが,顎骨骨延長を行った小児の治療成績については,いまだ十分な検討がなされていない。本稿では筆者が経験した口唇裂口蓋裂に伴う上顎劣成長を有する患児の上顎骨延長についてその術式を概説し,CT 画像上の変化,側貌硬組織・軟組織の形態変化,鼻咽腔閉鎖機能の変化等の治療成績を分析した。その結果,延長部の骨形成は術後6 ヶ月でほぼ終了し,同時期より顎態も安定する傾向がみられた。しかし術後長期では,下顎骨の成長変化に伴い,咬合が浅く不安定になる傾向が見られた。硬組織の移動量は骨延長によらない従来の骨切り移動術より有意に大きいにもかかわらず,硬組織に対する軟組織の移動比率は従来法と同等もしくはそれ以上の値を示した。鼻咽腔閉鎖機能については,上顎骨延長量が15 o未満の小児および成人患者では悪化はなかったが,15 oの延長を行った成人患者では悪化がみられた。小児期はいまだ成長発育が残っていることから,トリートメントゴールを定めることは難しいが,さらにより多くの症例検討に基づいた小児期の顎骨骨延長に関するガイドラインの策定が望まれる。

キーワード 小児顎変形症,上顎骨延長,RED システム




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