山梨医科学雑誌 第21巻2号 027-031(2006)

<原著>
鏡視下腎部分切除術における吸収性縫合用
クリップを使用した腎実質縫合法の検討
― 動物モデルを用いた従来の縫合法との比較―

座光寺 秀 典,野 村 照 久,土 田 孝 之,深 澤 瑞 也,
滝 花 義 男,荒 木 勇 雄,武 田 正 之

要 旨:鏡視下腎部分切除術時の阻血下での腎実質縫合による止血法は開放手術と同様に腎切離面の止血に優れ,尿漏のリスクも回避できる。しかし腔内での腎の縫合は熟練を要し,かつ温阻血時間短縮のため迅速性も求められる難易度の高い手技である。今回筆者らは吸収性クリップ(ラプラタイ :エチコンエンドサージェリー社製)を用い,糸結びを必要としない腎実質縫合法の腎切離面の止血に対する有用性と安全性を動物モデルで検討した。
 6頭のブタに腹腔鏡下阻血下腎部分切除術を施行し,通常の腔内縫合法(通常群)(3 頭)と,クリップでの縫合法(クリップ群)(3 頭)の2 群に分類し,腎欠損部の修復を行った。1 針あたりの縫合時間と全縫合時間,温阻血時間の平均値を2 群間で比較検討した。3 項目すべてにおいてクリップ群が有意に低値であった。通常群では2 針の腎損傷がみられたが,クリップ群では合併症はなかった。
 吸収性クリップを用いた腎実質縫合は温阻血時間を有意に短縮させ,また安全性の高い手技であ
る。

キーワード腹腔鏡下腎部分切除術,腎実質縫合,吸収性縫合用クリップ,動物モデル,温阻血時間




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