山梨医科学雑誌 第21巻4号 079-089(2006)

<総  説>
未破裂脳動脈瘤

杉 田 正 夫,木 内 博 之

要 旨:本邦では,脳卒中予防に対する高い関心と画像診断法の進歩により,ほとんど侵襲なく脳や血管の形態ならびに機能を評価できるようになり脳ドックとして普及している。これに伴い,無症候性未破裂脳動脈瘤が発見される機会も増加する傾向にある。未破裂動脈瘤は大きさや形状に加え,高血圧,喫煙などの危険因子の有無により破裂率が異なるが,通常多く発見される10mm未満程度のものでは年間1 %程度であり,それほど高くはない。一度破裂するとクモ膜下出血を来たし,半数以上が死亡か社会復帰不可能な障害を呈してしまう。このため治療方針や治療方法は画一的ではなく患者の年齢,状態,動脈瘤の部位,形状,治療の難易度などを総合的に吟味し,患者に最大の恩恵を提供できる選択肢を提示しなければならない。当科では,日本脳ドック学会の指針(ガイドライン)に準拠し治療に当たっているが,治療には,従来より行われ,予防効果のエビデンスが確立している脳動脈瘤クリッピング術に加え,近年,脳血管内治療によるコイル塞栓術も行っている。本総説では,この未破裂脳動脈瘤の概略と現時点の我々の治療方針に加えて,安全で確実な外科療に向けて当科で行っている治療法の実際について解説する。

キーワード 未破裂脳動脈瘤,脳ドック,脳動脈瘤クリッピング術,コイル塞栓術




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