山梨医科学雑誌 第21巻4号 091-101(2006)
<総 説>
動脈硬化の治療に向けた新たな研究戦略
―遺伝子改変ウサギの開発及び応用
範 江 林
要 旨:動脈硬化とその合併症である心筋梗塞,脳卒中といった生活習慣病は,日本を始めとした先進工業国における死亡原因の約半数を占め,人口の高齢化が加速される中で,今や医学領域のみならず社会経済的にも最も重要な課題となっている。わが国においては自動車の普及による運動不足や食習慣の欧米化による高カロリー食の摂取に伴い,動脈硬化患者の増加傾向が,近年,社会問題としてマスコミでもよくクローズアップされるようになっている。この動脈硬化の原因並びに成立機序に関しては,高脂血症や糖尿病,高血圧,喫煙などの古典的な危険因子が重要な役割を演じることは周知の通りであるが,最近では内臓型肥満やそれに起因するメタボリックシンドロームが新しい危険因子として注目されている。動脈硬化がどのように発生し進展しているかを理解し,その治療及び予防法の開発に向けてどのように研究を展開すべきかは,臨床医並びに医学研究者にとって大きな使命である。本稿では病理学の立場から動脈硬化の最新知見を概説すると共に,現在本研究室で推進している遺伝子改変ウサギモデルによる動脈硬化研究の成果について紹介したい。
キーワード 動脈硬化,遺伝子導入動物,高脂血症,炎症,MMP
本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。
Texts are not availavle on Internet.
目次・Contentsに戻る