山梨医科学雑誌 第22巻1号 001-011(2007)

<総  説>
多機能タンパク質DJ-1 と病態
―酸化ストレス防御因子としての機能―

平   敬 宏

要 旨:パーキンソン病は,近年の高齢化社会の到来により患者数の激増が問題化している神経変性疾患である。パーキンソン病は患者の大多数が加齢を主要因とする孤発性パーキンソン病であり,若年発症が顕著な家族性パーキンソン病は稀である。家族性パーキンソン病の病因は原因遺伝子変異による。そのため,この10 年で12 個の家族性パーキンソン病原因遺伝子が相次いで明らかにされた。発症に複雑な要因が絡む孤発性パーキンソン病に対し,家族性パーキンソン病は原因遺伝子変異が特定できるため,原因遺伝子産物の機能解析は,家族性のみならず孤発性パーキンソン病発症機構解明にも重要な手がかりを与えると考えられる。本稿では,家族性パーキンソン病原因遺伝子(PARK7)であるDJ-1 タンパク質の酸化ストレス防御因子としての機能と,パーキンソン病の発症機構,神経変性抑制作用,さらに,酸化ストレスによる各種疾患治療薬としてDJ-1 タンパク質の可能性,DJ-1 タンパク質の抗酸化ストレス機能を制御することによる細胞死抑制,生物種間でのDJ-1 機能の変異,臨床診断指標化への可能性ついて基礎生物学的な解析を紹介する。

キーワード 神経変性疾患,パーキンソン病,酸化ストレス,DJ-1



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