山梨医科学雑誌 第22巻4号 059-069(2007)
<総 説>
小児難治性白血病の克服を目指して
杉 田 完 爾
要 旨:小児急性リンパ性白血病(ALL)の予後は多剤併用化学療法の進歩によって著明に改善されてきたが,Philadelphia 染色体を有するALL やMLL 遺伝子の再構成を有するALL は依然として難治性である。この二大難治性ALL を攻略するためには,白血病細胞の分子遺伝学的あるいは生物学的特性を追求することによって,難治性白血病の『弁慶の泣き所』を探し出すことが重要となる。本総説では,小児二大難治性ALL の分子遺伝学的・臨床的特性に関して現在までに分かっていることを概説し,次に二大難治性ALL の化学療法剤に対する感受性,サイトカイン受容体の発現と機能,分子標的療法,細胞傷害分子に対する感受性について我々のデータを中心に紹介するとともに,臨床応用へ向けた現状について触れる。
キーワード 小児難治性白血病,Philadelphia 染色体,MLL 遺伝子
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