山梨医科学雑誌 第23巻1号 001-011(2008)

<総  説>
感染を伴わない細菌からの免疫刺激と私たちの病気

猪 原 直 弘

要 旨:人体は環境中にいる細菌から来る物質に常に晒されています。特定の細菌成分は炎症応答などの細菌から体を守るしくみを活性化しますが,細菌以外の異物排除のしくみであるアレルギー応答を抑えます。幼少期の細菌成分への接触の機会の低下はアレルギー疾患にかかりやすさを跳ね上げます。私たちはNod という細菌成分を人体が見つけるために必要なタンパク質群について調べてきましたが,その遺伝子の配列の差でアレルギー疾患やクローン病などの自己炎症性疾患のかかりやすさが上がります。こうした環境と遺伝に影響を受ける病気の研究の最先端では,ヒト全ゲノム配列が決定された今,新たな時代を迎えようとしています。病気のかかりやすさを決定する環境因子と人体のしくみを分子レベルで調べ,結びつける研究が始まりました。本稿では,私たちの今までの研究を中心にこうした研究のあり方について述べていきます。

キーワード Nod ファミリー,免疫刺激性細菌成分,自然免疫,アレルギー,クローン病




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