山梨医科学雑誌 第23巻2号 043-052(2008)

<原  著>
抗血小板薬シロスタゾールのアラキドン酸ナトリウム
惹起血小板凝集による薬効評価系の構築

依 田 茂 美,佐 藤 金 夫,尾 崎 由基男

要 旨:【背景】シロスタゾールはcyclic AMP(cAMP)分解酵素であるホスホジエステラーゼ阻害作用を持つ抗血小板剤であり,その血小板機能抑制作用を簡便かつ明確にモニタリングする方法を確立した。
【方法】1)シロスタゾールで血小板を前処理したのち,アラキドン酸ナトリウム(AA-Na),トロンボキサンA2 アナログであるU46619 などで血小板を刺激して血小板凝集能を測定した。2)シロスタゾールの単回投与前後で採血し,AA-Na,U46619 による血小板凝集能を測定した。3)シロスタゾール存在下にAA-Na 刺激して血小板内cAMP を測定した。4)シロスタゾール存在下でU46619 単独,U46619 + PGD2 で血小板を刺激した。
【結果】1)シロスタゾールは種々の刺激による血小板凝集を抑制したが,AA-Na による血小板凝集を最も低濃度で抑制した。2)シロスタゾール服用後に8 例中7 例でAA-Na 刺激による血小板凝集が抑制されたが,U46619 刺激では6 例中1 例で抑制が見られたのみだった。3)AA-Na 刺激の有無にかかわらず,血小板内cAMP の増加はシロスタゾール濃度にのみ依存していた。4)PGD2 の存在によりシロスタゾールの血小板機能抑制作用が増強された。
【考察】AA-Na 刺激による血小板凝集能がシロスタゾールのモニタリングに適しており,添加したAA-Na の代謝産物が何らかの関与をしていると考えられた。

キーワード シロスタゾール,アラキドン酸ナトリウム,血小板凝集能,プロスタグランジンD2,
抗血小板剤モニタリング




本文は、編集委員会の意向によりインターネットには公開しておりません。図書館等でご覧ください。

Texts are not availavle on Internet.




目次・Contentsに戻る