山梨医科大学雑誌 第9巻2号 039-043(1994)

<原著>固定プログラムを用いた体外受精・胚移植の1993年の成績

笠井 剛,内田雄三,廣井 威,長田典子,
奥野 隆,滝澤 基,小川恵吾,端 晶彦,
平田修司,木下俊彦,安水洸彦,加藤順三

抄 録:体外受精・肝移植(in vitro Fertilization-Embryo transfer: IVF-ET)の手技の簡便化を図るために,月経周期にとらわれず採卵日を固定した体外受精・肝移植プログラムを試みたので報告する。対象は1993年1月から12月までの間に,当科でIVF-ETを施行した92周期(57症例)である。採卵日を水曜日に固定し,その日から遡って10日前からHuman Menopausal Gonadotropin: hMG 225単位/日を7日間投与し,採卵36時間前にHuman Chorionic Gonadotropin: hCGを投与し,採卵を行った。6周期は卵胞発育不全のために採卵中止となったが86周期(57症例)を採卵し,68周期(48症例)に胚移植を施行した。臨床的妊娠数は20周期で,妊娠率は胚移植当たり29.4%,採卵当たり23.3%,患者数当たり35.0%,胚移植患者数当たり41.7%であった。このうち2例は流産,3例は子宮外妊娠であった。1例は内外同時妊娠で,子宮内の胎児は生存している。16例が妊娠継続した。このうち9例は単胎で,7例が多胎であった。採卵日を固定しても,他施設の成績と比べて,良好な成績を修めることができた。当科でのIVF-ETの成績の特徴は,子宮外妊娠と双胎の割合が高いことである。子宮外妊娠に関しては,患者の卵管機能障害に起因する側面もあったが,胚移植時の技術的な問題に起因する側面もあり,改善の余地があることが示唆された。双胎に関しては,当科のプログラムにおける受精卵の質の高さを示唆するものであった。採卵ができずに中止になった症例は,いずれも排卵誘発剤に対する反応性が低下している症例で,受精卵が得られずに中止になった症例の多くは男性不妊症であり,これらの症例に対する新たなる対応が必要と考えられた。以上1993年の当科における固定プログラムを用いた体外受精・胚移植の成績を検討し,若干の考察を得た。

キーワード 体外受精・胚移植,IVF-ET




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