山梨大学看護学会誌 第2巻1号 003-013(2003)

<総 説>
妊娠・授乳・離乳期における骨密度の変化と要因
―文献による検討―

西脇 美春

要 旨
1.骨密度は妊娠期には増加したという報告と減少したとする研究の両論がある。授乳期についてはラットについてもヒトについても減少したとする研究が多く,離乳期の研究は少ないものの骨密度が回復したという報告が主である。
2.ラットにおいてもヒトにおいても骨密度の増減と血清エストラジオール増減は平行しており,血清エストラジオールは骨密度の増減に重要な要因になっている。
3.血清プロラクチンは,妊娠期と離乳期には低値を示し,授乳期には高値を示し授乳期の血清エストラジオールの減少に関係し骨密度減少を促進した。
4.授乳期のアルカリホスフアターゼの亢進は骨代謝を促進し骨の修復に関与している。
5.妊娠期の血清カルシウムは増加あるいは減少したと両論あるが,授乳期には乳汁に移行するため母体の骨密度を低下させる。

キーワード 骨密度,妊娠,授乳,離乳,ホルモン



Changes and Their Factors of Bone Mineral Density during Pregnancy, Lactation and Weaning
−A Study by Literature−

NISHIWAKI Miharu


Key Words  Bone Mineral Density, Pregnancy, Lactation, Weaning, Hormone


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