山梨大学看護学会誌 第2巻1号 015-019(2003)

<実践報告>
配偶者と非配偶者である遺族にみられる
悲嘆状況と看護師に望む遺族ケア

名取佐知子,友野 恵,志田かおり,及川 真美,宮島多映子,佐藤みつ子

要 旨
 死亡退院した患者の遺族(1年未満から6年未満)93名を対象に死別後の悲嘆状況と病棟看護師が行う遺族ケアを検討する目的で,研究趣旨を明記した調査票を郵送し,同意の得られた50名に調査を行った。調査内容は,身体症状24項目(河野らの心身反応尺度),悲嘆状況(Levの悲嘆尺度22項目)と看護師に望むケアとその理由である。身体症状は遺族の9割あり,「疲労感」,「睡眠障害」,「体のだるさ」であった。悲嘆尺度の平均得点は,配偶者喪失群は「戸惑いと心細さを感じる」,「人生は意味がない」,「感情のないまま機械的に動いている」,「空虚だと思う」が高く(p<0.05),非配偶者群は「怒りっぽい」が高い(p<0.01)。看護師に望むケアは「病棟を尋ねるよう声をかける」が3割と高く,その理由は「経済問題・社会資源」,「健康問題の相談」,「患者について話す」であった。病棟看護師の行う遺族ケアは,@病棟を尋ねるよう声をかける,A身体症状の把握,B遺族の相談窓口等の援助体制,Cグリーフカードを数回送付することの必要性が示唆された。

キーワード 遺族,悲嘆,遺族ケア,配偶者,看護師



Grief and Expectations of Bereavement Care by Staff Nurses between Bereaved Spouses
and Non-spouses

NATORI Sachiko, TOMONO Megumi, SHIDA Kaori, OIKAWA Mami, MIYAJIMA Taeko, SATO Mitsuko


Key Words Bereaved Family, Grief, Bereavement Care, Spouse, Staff Nurse


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