山梨大学看護学会誌 第2巻1号 025-029(2003)

<実践報告>
腹部血管造影後の苦痛状況に関する調査

橋本久美子,野口 真樹,宮沢 一恵,小澤 和子,伏見ます美,白鳥さつき

要 旨
 本研究の目的は腹部血管造影検査後の安静・治療による患者の苦痛を明らかにすることである。腹部血管造影検査を実施した患者23名を対象として検査前,検査後の安静の理解度,および苦痛の具体的内容について質問紙による調査を行った。同時に検査後の患者の状態を看護師が経時的に観察し,記録するという方法で実態調査を行った。調査の結果,検査内容を問わず安静解除まで平均14時間を要すことが明らかとなった。患者の苦痛は予想以上で,特に腰痛,背部痛,口渇などが上位を占めた。また,看護師の立てる騒音への苦痛や排泄への遠慮や不安,ナースコールへの遠慮が多いことが明らかとなった。年齢差では70歳以上の患者が未満の患者と比べて全体的な苦痛が高く出た。看護師のケアでは口腔ケアや背部のマッサージなどが患者の評価が高かった。また声かけによってかなり励まされていることも確認できた。これらの結果から,オリエンテーション時に安静の体位の保持や含嗽練習など具体的体験を取り入れること,高齢者向けのパンフレットを作成すること,経過がわかりやすいように経時的に点滴や食事などについて示すことなどの示唆が得られた。

キーワード 腹部血管造影,安静臥床,苦痛,痛み



The Study about Discomfort Related to Abdominal Angiography

HASHIMOTO Kumiko, NOGUCHI Maki, MIYAZAWA Kazue, OZAWA Kazuko, FUSHIMI Masumi, SHIRATORI Satsuki


Key Words Abdominal Angiography, Bed Rest, Discomfort, Pain


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