山梨大学看護学会誌 第3巻1号 033-040(2004)

<資 料>
口唇口蓋裂児をもつ母親の心理的反応に関する研究

佐藤公美子/井上 慶子/植松 裕美/小林 真里
平田 知子/赤池 陽子/五味美百合/佐藤みつ子

 口唇口蓋裂は,全出生の約0.2 %,500 人に1 人の割合でみられる。Y 病院では,年間7 件程度の口唇口蓋裂術が行われている。本研究は,口唇口蓋裂児をもつ母親の心理的反応を明らかにし,継続看護の基礎資料とすることを目的とした。研究方法は,半構成的面接法で行い,内容分析を行った。分析の結果,初期コード数61 ,サブカテゴリー12 ,カテゴリー6 であった。サブカテゴリーの意味内容の類似性により統合し,カテゴリーを『期待とショック』『否認とあきらめ』『不安と偏見・差別』『反発心と覚悟』『支援と成長への期待』『再起への奮起』と命名した。母親は,出生時や児との対面時,強い衝撃を受け,また,出生後や通院時は,他者からの偏見・差別を受け,子どもの将来への不安を抱いていた。しかし,同じ障害児をもつ母親同志の情報交換,看護師の励ましにより,児を受け止められるようになった。母親は,手術の知識の提供や育児医療・扶養手当の社会資源と活用,親の会の設置の要望を持っており,外来と病棟との連絡体制,地域における保健・福祉と連携し継続看護を進めることの重要性が示唆された。

キーワード 口唇口蓋裂児,母親の心理的反応,支援,看護の役割



A Study of a Mother’s Mental Reaction of a Child with Cleft Lip and Palate Hospital

SATO Kumiko, INOUE Keiko, UEMATU Hiromi, KOBAYASHI Mari
HIRATA Tomoko, AKAIKE Youko, GOMI Miyuri, SATO Mitsuko


Key Words  Child with Cleft Lip and Palate, Mother’s Mental Reaction, Support, Role of Nursing


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