山梨大学看護学会誌 第3巻1号 049-054(2004)

<資 料>
消化器系・循環器系内科病棟における
悪性疾患患者と非悪性疾患患者の倦怠感の比較

山本美智子,伊藤 あい,佐々木洋子,村松 和起
牧野 基美,秋山 栄,伊達久美子

 当病棟は消化器系・循環器系疾患患者が中心の内科病棟で,その中で悪性疾患患者が約8 割を占め,その患者の多くが倦怠感を訴える。本研究は患者の倦怠感の内容や程度を把握するために,患者への負担をかけず,かつ身体的・精神的・認知的の視点から評価が行えるCancer Fatigue Scale を使用し調査を行い,悪性疾患患者と非悪性疾患患者の比較を行った。全対象者65 名の平均年齢は63.0 ±13.8 歳で消化器疾患患者が最も多く約65%を占めていた。CFS 得点は,身体的倦怠感と精神的倦怠感で,悪性疾患患者群は非悪性疾患患者群より得点が高く倦怠感が強いという傾向を示していたが,両群間に有意差はなかった。しかし肝疾患患者のCFS 得点を肝障害度別(Child- Pugh 分類)によって比較した結果,最も肝障害度の高いClass C のCFS 得点が高く Class AとClass B との間に有意差を認めた。さらにCFS 得点を両群間で比較したところ,ヘモグロビン値,ヘマトクリット値,赤血球数,血清アルブミン値に有意差があった。CFS 得点と血液データ等の関係では悪性疾患患者群は非悪性疾患患者群に比べ,ヘモグロビン値,ヘマトクリット値,血清アルブミン値に強い正相関を認め,言語的に現れにくい倦怠感のアセスメントの指標として重要であることが示唆された。

キーワード 倦怠感,悪性疾患患者,非悪性疾患患者,癌患者の倦怠感スケール



Fatigue of Inpatients in the Internal Medicine Ward:
The Difference between Malignant Disease Patients and Non-Malignant Disease Patients

YAMAMOTO Michiko, ITO Ai, SASAKI Yoko, MURAMATSU Kazuki
MAKINO Motomi, AKIYAMA Sakae, DATE Kumiko


Key Words Fatigue, Cancer Fatigue Scale(CFS), Malignant Disease Patients, Non-Malignant Disease Patients, Assessment of Fatigue,


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