山梨大学看護学会誌 第5巻1号 049-055(2006)

<資料>
喉頭摘出術を受けた患者の日常生活上の困難さと対処方法
―患者と家族の比較―

名取佐知子,宮澤 一恵,辻 加永子,長崎ひとみ,望月 恵美,
伏見ます美,伊達久美子

要 旨
 喉頭摘出術を受けた患者や家族の日常生活上の困難さと対処方法を把握し,今後の退院指導に活かすことを目的として調査を実施した。
 患者とその家族54組を対象とし,発声会で質問紙を配布,または配布できなかった患者・家族には郵送した。質問項目は主に会話,食事,呼吸,生活について行った。有効回答は30組(回答率55.6%)で,患者の平均年齢72.3 ± 7.2 歳,家族の平均年齢65.8 ± 10.5 歳であった。
 患者・家族共に日常生活上の困難さで高値を示したのは,会話に関する質問項目で「会話が伝わらずに困ることがある」,「声がでなくてストレスだ」は,家族より患者の方が有意に高かった。家族が考えている以上に患者が困難さを感じる傾向が強いことを,入院中から家族に伝え,退院指導に活かしていく必要があることが示唆された。一方,患者より家族の方が有意に高かった項目は「食べる量が少なくて心配」であった。入院中から家族に食事指導を受けてもらうことや入院中の摂取状況を見てもらうことで不安は軽減できると考えられる。「入浴時,気管孔に水が入らないか心配」は患者と家族が共に最も高い困難さを示しており,タオルの巻き方の指導を徹底していく必要がある。今後これらのことを活かして退院指導の質を高めていきたい。

キーワード 喉頭摘出患者,家族,日常生活上の困難さ,対処方法



A Comparison of Difficulties of Self-Management of Patients of Total Laryngectomy
with Their Families’ Care

NATORI Sachiko, MIYAZAWA Kazue, TUJI Kanako, NAGASAKI Hitomi, MOTIZUKI Emi,
FUSIMI Masumi, DATE Kumiko


Key Words Patients after Total Laryngectomy, Family, Difficulties of Daily Life, Self-Management


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