山梨大学看護学会誌 第6巻1号 039-044(2007)

<資 料>
看護学生と他領域の学生の性同一性障害に対する
態度や知識と性差観に関する研究

日向 桂子,高田谷久美子,近藤 洋子

要 旨
 学生の性同一性障害(GID)についての態度や知識と性差観との関連を明らかにすることを目的として,看護学生169 名と教育系学生130 名,その他文系領域の学生215 名を対象とし,2004 年9 月末〜 10 月末に自記式・無記名のアンケート調査を行った。調査内容は,GID の知識:GID に関する6 項目の中から正しい回答を選択させる,GIDに対する態度:性別適合手術や戸籍の性別変更に対する考え方とGIDに対する社会的距離,性差観:
男女の違いに対する態度であった。
 その結果,GID についての知識は,看護学生,教育,その他の順に高かった(p<0.05)。GID に対する社会的距離は学生の所属による違いはみられなかった。性差観は看護学生65.0 ± 12.9 点,教育68.8 ± 11.6 点,その他67.4± 12.5 点と所属による差がみられ(F= 3.148,p =0.044),看護学生が最も弱い,即ち性差を意識しないという結果であった。さらに,社会的距離と知識には弱い正の相関が,社会的距離と性差観には弱い負の相関が見られたことから,GIDに対する態度,即ち社会的距離を近づけるには,知識を得る機会を増やすだけでなく,性の多様性を理解し柔軟に対応できるよう働きかけることが重要であることが示唆された。

キーワード 性同一性障害,看護学生,比較調査,性差観,態度



A Comparison of Attitudes toward ‘Gender Identity Disorder’ and Gender Roles between
Nursing Students and Students of Other Disciplins

HINATA Keiko, TAKATAYA Kumiko, KONDO Youko


Key Words Gender Identity Disorder, Nursing Students, Comparative Investigation, View of Gender Difference, Prejudice


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