山梨大学看護学会誌 第7巻1号 061-067(2008)
<資 料>
手指受傷患者の受傷による心理的変化に関する研究
穴水 美和,佐藤みつ子
要 旨
本研究は,突然の事故で手指を受傷した患者の受傷による心理的変化を明らかにし,看護師が手指を受傷した患者に対する心理的支援に役立てることを目的とした。吉本ら(2001)がフィンクの危機モデルに基づき作成した20 項目の尺度を使用し,各項目は5 点満点で点数が高いほど心理状態が良いとした。結果,『衝撃』段階では,受傷直後から退院に向け徐々に高値を示した。このことは,受傷直後の事態を十分に把握できない混乱状態から時が経つにつれ受傷したショックが軽減しているからと考える。『適応』段階では,男性の方が女性より低値であった。これは,対象者が壮年期男性,有職者が多く,将来に対する不安が強いためであると考えられる。日常生活の支援者別では,「退院時」の『承認』段階において有意差が認められ,支援者が男性の方が低値だった。このことは,男性の場合,慣れない日常生活の支援が難しいからではないかと考えられ,看護介入の必要性が明らかになった。
キーワード 手指受傷,危機,心理的変化
The Psychorogical Changes in Patient with Traumatic Injury Fingers
ANAMIZU Miwa, SATO Mistuko
Key Words Traumatic Injury to Fingers, Crisis, Psychological Change
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