山梨肺癌研究会会誌 第11巻2号 055-058(1998)
肺癌手術例における術前気管支細胞診の検討
中澤久美子,石井善雄,早川直美,弓納持勉,尾崎由基男,西川圭一,高橋渉,加藤良平,三俣昌子
要旨:当院の1993年4月から1998年3月までの5年間における肺癌手術例のうち、術前気管支擦過および洗浄細胞診が行われた104例の成績と、誤陰性および過小評価となった症例の細胞像を手術標本と比較、再検討しその要因について検討した。
対象104例の組織型の内訳は、腺癌60例、扁平上皮癌29例、転移性癌10例、その他5例であり、そのうち術前細胞診で悪性と診断し得た症例は76例(73.1%)、Class T,Uとしたものは20例(19.2%)、Class Vとしたものは8例(7.7%)であった。悪性と診断された76例の組織型および郭組織型中に占めるClass Xの割合(括弧内)は、腺癌45例(75%)、扁平上皮癌23例(79%)、転移性癌5例(50%)、その他3例(60%)であった。
また、Class T,Uとした20例中1例(5%)に誤陰性例が認められ、、Class Vとした8例中4例(50%)が過小評価であった。両者あわせると、104例中5例(4.8%)が誤陰性および過小評価であった。それらの組織型はすべて腺癌で、1例は比較的稀な組織型(粘液参性生性腺癌)であった。これらの誤陰性および過小評価の主な要因は、細胞摂取量が少なく、異型性が乏しいことであった。
Key words:lung cancer,false-negative,cytology
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