山梨肺癌研究会会誌 第11巻2号 072-077(1998)
心タンポナーデで発症した胸腺癌の1例
天野 宏,高橋 渉,古川 浩,保坂 茂,吉井新平,多田祐輔,奥脇英人
要旨:悪性腫瘍の心嚢転移は、比較的多く経験されるが、縦隔の悪性腫瘍で、心タンポナーデを初発症状とすることは稀とされている。今回、心タンポナーデを初発症状として発見された胸腺癌を経験したので報告する。症例は62歳、男性。心不全を疑われ当院循環器内科紹介入院となり、精査にて心タンポナーデと前縦隔の腫瘤が認められた。胸骨正中切開下に摘除を試みるも、浸潤が著しく断念し、この際の腫瘍生検で腺癌と診断。その後13か月で死亡した際の病理解剖で胸腺扁平上皮癌の診断を得た。本症例の心タンポナーデ発症の機序には、胸腺癌のリンパ流障害とリンパ管浸潤から、心膜播種をきたしたものと推察された。
Key words:胸腺癌,心タンポナーデ,リンパ管浸潤
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