山梨肺癌研究会会誌 第11巻2号 102-106(1998)
肺癌検診は有効か
−報道機関からの質問に答えて−
吉井新平
要旨:1998年春に各種癌検診の有効性についての論議がマスコミを賑わし、山梨肺癌研究会にもある報道機関より取材があった。即答できなかったため、持ち合わせの資料を基に分析を行なった。資料として山梨肺癌研究会会誌と長田忠孝先生を中心にまとめられた山梨県健康管理事業団と厚生連健康管理センターの肺癌検診で発見された症例の集計、山梨医科大学第二外科症例のデータを用いた。
検診が有効か否かの専門的な分析は門外漢であるが、資料を単純に計算したところ、肺癌においては早期発見は有効であり、検診で発見された症例は検診以外で発見された症例に比し早期に発見される確率が高く、検診で発見されることにより延命効果があると思われた。計算上山梨県内では年間14〜23人が検診にて実質的に救命できていると推定された。
これらの計算の過程で、検診の有効性を高めるためには外科においても手術死亡を極力0%とし、手術可能例はできるだけ手術を行う一方、現時点で手術適応を越えた進行例には手術を行なわないことが5年生存率を高め、ひいては検診の成績にも直結することがあらためて判明した。
今後より専門的な分析が必要である。今回書簡のかたちで掲載させて頂くことにより、問題提起としたい。
Key words:肺癌検診,検診の有効性,山梨肺癌研究会
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