山梨肺癌研究会会誌 第12巻1号 008-012(1999)

肉腫様変化を伴った肺腺癌の1症例

福田尚司,虎走英樹,有泉憲史,橋本良一,池田華子,岩井和郎,平島奈緒子,三俣昌子

要旨:症例は77歳の女性で、1998年8月22日より左季肋部痛を自覚し、2日後当院を受診した。入院時検査では、高度の貧血と軽度のCRPの上昇を認めたほか、腫瘍マーカーでは異常を認めなかった。入院時胸部レントゲン写真で、左胸腔に多量な液体貯留を認めた。3500mlの血性胸水をドレナージしたが、細胞診ではclass IIであった。胸部CTでは、左肺下葉に最大径2.5cmの腫瘤を認め、腫瘤は不整形で、胸膜陥入像を認めた。腫瘤内部は不均一で、腫瘤中心部に低吸収域を認め、辺緑部が造影され高吸収域であった。また、気管分岐下リンパ節の腫大の所見を認めた。癌腫による出血が疑われ、出血がコントロールできなかったため、準緊急的に左肺下葉切除およびリンパ節廓清術を行った。病理組織では、腫瘍の辺縁部には高分化型腺癌が存在し、中心部は異型性を伴う紡錘形細胞からなり、肉腫様を呈していた。免疫染色では、紡錘形細胞は上皮由来であり肺腺癌が肉腫様変化を起こしたもので、肉腫様変化を伴った肺線癌と診断した。

Key words:癌肉腫、肉腫様変化、腺癌、紡錘形細胞



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