山梨肺癌研究会会誌 第12巻1号 013-018(1999)

肺癌合併特発性間質性肺炎の術後急性増悪の1例

喜納五月、霜多 広、松原寛知、古屋一茂、堤 正夫、石原重樹、並河尚二

要旨:特発性間質性肺炎(IIP)を合併した肺癌の外科治療においてIIP急性増悪は致命的合併症である。今回我々は肺癌を合併したIIPの術後急性増悪の1例を経験した。術後急性期は順調に経過したが、その後呼吸不全を呈し、術後51病日に気管内挿管し人工呼吸管理となる。一旦呼吸状態は改善傾向をみせたが、呼吸器よりの雛脱ができず、呼吸状態悪化し100病日に死亡。このような症例の周術期管理の間題点と注意点を文献的考察を含めまとめた。IIPの活動性はWBC、LDH、CRPの上昇、%リンパ球の低下でみることができる。これらが急性増悪の早期指標となる。急性増悪の冶療として早期にステロイドパルス療法を始めるべきであると考えられる。酸素投与法については術中術後のPaO2を100torr前後に保つことでIIPの急性増悪を避けられるとの報告もあった。薬剤に開しては抗癌剤投与がIIPの急性増悪を惹起することは言われている。本症例では胸腔ドレーンから注入したピシバニールも増悪因子の1つとも考えられた。

Key word ;特発性間質性肺炎、術後急性増悪



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